無線の内容は本当に大事です。
消防の仕事は初動が重要と言われています。
無線の内容で現場をイメージしておくことで、最初の一歩目がスムーズに動くのです。
現場に何の道具を持っていくか、どういう準備をするか。
もし道具が足りなくて取りに戻るとそれだけ時間をロスします。
夏の暑い日、郵便受けに新聞が溜まっている、異臭もするということで通報が入りました。
さて、皆様はこの無線内容で何を想像しますか?
今回はそんなお話。

現場に着くと、確かに郵便受けに新聞が溜まっている。
チャイムを鳴らしてみるも反応なし。
確かに臭いもキツイ。
郵便受けから新聞を取り、中を覗くも反応はない。そして臭いがキツイ。
数分後、大家さんが来て合鍵を貰い中に入ろうと玄関のドアを開けると…
ブワァァーーン!!
と大量のハエが飛んできました。
ハエの群れというより、ハエの塊が押し寄せてきます。
「うわーー!!」
と驚きながらも体制を立て直し、
何十匹のハエが顔に当たりながらも中に入っていきます。
そして、臭いも凄まじいです。
さて、中に入ると、残念ながら亡くなっていました。
いわゆる孤独死というやつです。
発見が遅くなり、腐敗が進み、全身が黒と紫の中間くらいの色をしていました。
全身にハエの幼虫がまとわりつき、動き回っています。
スッと手を合わせた後、この方の情報を集めます。
氏名、生年月日、家族の連絡先などです。
しかし、この臭いは本当に慣れません。
でもプロとして顔に出さないようにしています。
ハエが依然として顔に当たり続けます。
そして情報を集め、現場を警察官に引継いで帰ります。
無線の内容で大体想像がつくので、
こういうのは新人のねこやなぎ隊員が先頭で入るのです。
なので、このような無線を聞くと
ねこやなぎ自身から
「自分が先に中に入ってもいいですか?」
と隊長に進言するのです。
そして頷く隊長。
救助の準備のため。
心の準備のため。
無線の内容は大事。