火災現場のその後~消火の後も仕事は続く~

「昨夜未明、またたび市の住宅地で火災があり、焼け跡からこの家に住む〇〇さんと見られる遺体が発見され…」
という火災のニュースをたまに見ると思います。

アナウンサーはさらっと言っていますが、
火災現場でご遺体を発見することも消防士の仕事の一つなのです。

火災は消火だけでなく焼け跡での作業もある。
今回はそんなお話。

ねこやなぎ消防士が経験した火災。
夜中の11時くらいに火災発生の指令がかかりました。
急いで消防車に乗り込み現場へ向かいます。

走っている途中も常に情報収集をします。
現場は古い街並みのところだな。
木造の建物が多い場所だ。
家と家の間隔が狭いから延焼を防止しないと二次被害が起きるな。
…などなど。

無線からも多数の火災入電があり、火炎が家の四方から出ている内容が伝えられます。
(入電の数が多いとそれだけインパクトの大きい火災なのだと緊張感が高まります。)

そうなると燃えている家に入る事は難しくなります。
現場に近づくと、深夜の住宅地の一角がオレンジ色に輝いていました。

二階建て木造の家が燃えており、窓という窓から炎が吹き出ています。
これでは近づけません…。

何とか消火活動が終わったのは朝の7時頃でした。
夜の11時頃に出動したので、約8時間の消火活動になりました。

さて、いつもならここで終わりですが、
ここからが今回のお話の本題です。

この家には高齢者が1人で住んでいました。
しかし、消火活動中も見つける事ができなかったため、
燃えた家の中に残されている可能性があります。

火の消し忘れで外出してしまったのだと祈りつつ、
時間帯を考えるとその可能性は低いと覚悟を決めつつ、
まだ少しくすぶっている燃え跡に、消防士たちが入っていきます。
手にはスコップ、鳶口(トビグチ)、という道具を持って玄関から慎重に探しに入ります。

もちろんねこやなぎ隊員も…。

10人ほどで中をかき分けて入っていきます。
燃え残った布団や雑誌、家具などをどけて家の中心部へ向かいます。
この時みんな思います。

(一番最初に見つけたくないな…)

本音はそうだとしても、仕事だから頑張ります。必死です。

そして、ねこやなぎ隊員が風呂場に行った時、
脱衣所で大きなタオルを見つけました。

そのタオルを剥がすと、なにやらのっぺりしたものがありました。

(なんだろう…)

怪訝に思いながら周りの衣類、タオルをどけていいくと…

ヌルリと光る白いものが見えました。

さらにどけていくと、
焦げたボールのようなものが…。

頭?後頭部??

あ。これ背中だ。

ヌルリと光っていた白い部分は…
裸で、体で、背中で、うつ伏せで…
は、早く報告しなきゃ…

今回ねこやなぎ隊員が見つけたご遺体ですが、
タオルに付いていた皮膚が剥がれ、皮下組織が出てきた状態だったのです。
つまり、肌の下にある脂です。

これがニュースでやっている、
「焼け跡からこの家に住む〇〇さんと見られる遺体が発見され…」の裏側です。

おそらく、お風呂から出た後に倒れてしまい、火の始末が出来ず火災になったのでしょう。
ニュースでは簡単に話していますが、その裏では様々なストーリーがあるのです。

ちなみに、ご遺体の状況から火災発生の原因を探すのも消防の仕事です。

このお話はまた今度。