こんにちは。またたび消防士ブログのねこやなぎです。
前回記事
精神疾患とテディベア①~病院搬送だけが救助じゃない~
救急事案で呼ばれる中には、精神疾患を患っている人が結構います。
割合でいえば、10件救急出場したら2から3件は通院歴があるくらいです。
なかなかぱっと見で目に見えて悪いところが無いので誤解をされやすい精神疾患。
それらにも対応するのが救急隊です。
テディベアを抱えた老婆。
訴えは息苦しいというもの。

隊長の助言通り、挨拶をしました。
「救急隊のねこやなぎと言います」
すると、老婆はおもむろにテディベアを差し出してこう言った。
老婆「この子はモモちゃん。ほら、モモちゃんご挨拶して」
テディベア「…」
そうしてモモちゃんの自己紹介が終わった。
ねこやなぎ「今日はどうしたのですか?」
老婆はモモちゃんなるテディベアを介して話し始めた。
テディベア「息苦しさを覚えて…」
ねこやなぎ「では、血液の中にちゃんと酸素があるか調べてみましょう」
テディベア「いえ、今は大丈夫なんです。でも不安になるとまた苦しくなってしまうの」
ねこやなぎ「そうですか、どんな時に苦しく…」
テディベア「あ、そうだわ!私、ピアノが弾けるの。弾いていい?」
ねこやなぎ「(隊長から否定するなと言われたし…)」
ねこやなぎ「は、はい。どうぞ」
そしてモモちゃんを置いて、電子ピアノを弾き始めた。
…隊長の方に目線を向けると静かに頷いた。
ねこやなぎ「(これでいいんだ…)」
そしてピアノが終わった。
ねこやなぎ「あの、それで息苦しさは…」
テディベア「私、今曲でコンクールに出たの」
ねこやなぎ「は、はい」
そして、昔話が始まった…。
そして、外では新聞配達のバイクの音がした。
時刻は3時半を過ぎている。
昔話は続く…。
時刻は4時を超えてしまった。
テディベア「今日は息苦しさはもう出ないと思うので、このまま休みますね」
ねこやなぎ「は、はい。」
隊長「体調が良くなって何よりです。では署名をよろしいですか?」
ねこやなぎ「(隊長、いつの間に!?)」
テディベア「はい、隊長さんもお元気そうですね」
隊長「はい。おかげ様で。では救急隊は失礼します。」
テディベア「(手を振る)」
そうして、我々はコーポネコヒゲを去っていった。
ねこやなぎ「隊長あの方って…」
隊長「ああ、あの人は不安になると呼吸苦を訴えるんだ。だからああやって話してあげると病症状が落ち着くんだ」
ねこやなぎ「そうですか…」
隊長「そうだよ。」
隊長「精神的な病気も本人は辛いんだ。そこは忘れるなよ」
ねこやなぎ「わかりました」
ねこやなぎ隊員の長い夜が終わった。
帰り道。
朝日がお疲れ様って言ってくれた気がした。
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