高級高齢者住宅~お金持ちの救助とは~

老後の生活拠点の一つとして高齢者専用住宅というものがあります。
建物の中が全部バリアフリーのマンションで、住人は高齢者。
職員がいろいろお世話をしてくれたりする施設です。

今回呼ばれたのは立派な高級高齢者専用住宅からの通報で、
見た目はもう立派なマンションそのもの。
腰痛で動けない高齢女性がいるとの指令内容でした。

どんなにお金持ちでも、どんなに高級住宅に住んでいても、
誰だってケガもするし病気にもなります。

富裕層の救助とはどんなものなのか。
ごみ屋敷やワンルーム10人部屋とは異なる趣の出場でした。

まずは救助のために部屋に入る…のではなく、建物に入るところから。
一階にはコンシェルジュがいて、救急車の停車位置を細かく指定してくる。

エレベーターで傷病者の住んでる階層まで行く。

エレベーターが開くと、そこにはお洒落したマダムがいました。
うん。服装がしっかりしていらっしゃる。
さすがは高級住宅。
でも救助が第一なので、

僕「すいません。前失礼します」

と声をかけて足早に通り過ぎようとしました。
しかしここで、振り返ることになるのです。

マダム「わたくしなの。呼んだの」

と言う。上品な口調で。
すこし遅れてコンシェルジュが階段で来て、

「この方です」

と言う。

僕「(なんでやねん)」

心の中では思わず不慣れな関西弁が出てしまう。

腰痛で動けないのにお洒落して歩いてる…
なんだよこれ…

ストレッチャーに乗せようとすると、
洋服のシワを気にしてなかなか乗らない。

やっとの思いでストレッチャーに乗せて救急車内に入れる。

靴とか帽子とかを脱がそうとすると、
マダム「髪の毛が整っていないから帽子は取らないでくださる?」

と言うのです。

もう言葉が出ない…。

病院に行こうとすると、
マダム「わたくし、〇〇病院の〇〇先生にしか見て欲しくないの」
マダム「コンシェルジュにそう伝えたのよ?」

正に我がまま言い放題。

僕「でも〇〇病院は腰痛見れませんよ。救急隊に病院選定任せてください」

とお願いすると、あからさまに不機嫌な顔。
渋々了承してもらったけど、どっと疲れた。

お金持ちでもお金ない人でも、消防がやることは一緒なのです。
誰に対してでも全力を尽くすのみ。

「みんなちがって、みんないい」
…ですよね!?
金子みすゞ先生!