またたび市を流れる二級河川。
消防職員は溺れた人も助けるって事で、
年に1回くらいこういう川で溺れた人を助ける訓練をします。
毎年5月か6月にやる訓練なのですが、
訓練日に上流で大雨が降ると川の水量が増えて危険なので、
その年は少し時期をズラして行ないました。
7月の中頃。
これから夏休みになり水遊びをする人が増えて水災害が増えてくる時期です。
それに備えて訓練します。
私、ねこやなぎが命じられたのは、
川の真ん中に浮かぶ中洲と呼ばれる島に取り残された釣り人という役。

つまり、助けられる側。
こういう訓練は、
救助される側になるとすごく楽…
いえ、全体が見えて勉強になります。
さて、ゴムボートで中洲まで運んんでもらって、
そこで「助けてー」といって手を振る大変重要な仕事です。
みんな必死で汗をかいて訓練しています。
わたしも汗をかこうと頑張って手を振ります。
そこそこ時間がかかるので、
中洲の中をウロチョロしてみることにしました。
なかなか来れないところなので楽し…
いえ、勉強のために周囲を調べます。
だいたい5メートル×15メートルくらいの小さな中洲です。
中洲の真ん中に木が一本生えていました。
おもむろに近づいてみると…
枝という枝に、蛇が。
ウジャウジャっと。
夢に出てくるくらい。
トラウマになるくらい。
ウジャウジャ絡まっていました。
後退りすると、足下のゴロゴロした石の間から蛇が何匹も出てきました。
うわーーーー
蛇1匹ならともかく、20から30匹はいました。
逃げる様に水際まで行き、全力で手を振りました。
本当に助けてほしい。
はやく、一刻も早く助けに来てほしい。
さらに追い討ちをかけます。
水際近くに上流から流れてきた瓦礫と流木があり、中からさらに蛇が。
合計50匹くらいでしょうか。
何なんだよここは…
「助けてーーー!」
救助隊を呼ぶ声にも熱が入ります。
「これは訓練ではない!くり返す!これは訓練ではない!」
心の中で叫びます。一刻も早く救い出してほしい。

以前に蛇を捕まえた記事を書いといて恥ずかしいですが、
とてもとても怖かったです。
生きた心地がしないまま、やっとの思いで救助されました。
助けてもらう傷病者の気持ちが少し分かった瞬間でした。
~後日談~
なぜ、あんなに蛇がいたのか。
調べてみると、上流で大雨が降って、蛇が下流へと流れてくるようです。
さらに流木や瓦礫の中に子持ちの蛇がいて、
産卵してあの中州で生活していた可能性が高いようでした。
さらに、訓練時期が7月にズレたため、蛇の卵が孵る時期と重なったということなのです。
もう行きたくない。