消防士の心得~慌てない秘訣はとにかく経験値を積むこと~

「できる消防士は決して慌てない」

この言葉は入庁してすぐの頃、大先輩に教えてもらった言葉です。
人間は慌てると周りが見えなくなります。
でも、そう簡単に落ち着くなんて出来やしない。

現場には血も溢れるし…

巨漢が暴れるし…

目が開いてても動かない人もいるし…

仕事は慌てることの連続なのです。

頭で想像したこと以上の現場がとにかく多い。
今回はビジネスホテルからの入電でした。
苦しむ男性と、他人事な付き添い女性のお話。

男性が胸痛で動けない、との内容。
行ってみると、部屋のベッドに腰をかけて胸を押さえている男性がいました。
そして横には女性が心配そうに付き添っています。

胸痛は一瞬で心臓が止まることもあるため緊張感が増します。
まずは慌てず、この男性の既往歴や薬の情報を得ることが救助の第一歩です。

男性は苦しがっているので、
バイタルを取るから情報を持っているのは横にいる女性からになります。

※バイタル
 生命に関する最も基本的な情報。
 病院だと脈拍・呼吸・血圧・体温を指すことが多いですが、
 救急の現場だと「意識レベル」とかも加わります。
 ここでは生命機能の確認くらいに捉えてください。

僕「すいません、御家族の方ですか?この方の持病や飲み薬は何かありますか?」

女性「不整脈があるって言ってました。飲み薬はわからないけど、デイバッグから薬出してるのを見ました」

僕「(なんか他人事だなぁ…)」

僕「そうしましたら掛り付けの病院ってありますか?」

女性「えー、わからないけどそこに連れて行くの?」

僕「いえ、まだ病院は決まっていません」

女性「そう…私も行くの?」

僕「はい、ご家族の方がが同乗してくれると有り難いです」

女性「そう…不倫相手だけどいい?」

え?
あれ?いいの?
えっと、ええっと…

僕「ななるほど、ご不倫されているご関係ですましたかか。そうですか」

隊長「とりあえず救急車内で詳しくお話を聞きます。その後この方の御家族と連絡を取りますので、それまでご協力ください。」

僕「(隊長すいません涙)」

不倫相手であっても救急の現場では貴重な情報源。
不倫相手であっても今この瞬間は男性にとって一番大切な人(救助的に)。

何度も経験すると、落ち着いて周りを見ることができます。
逆に、急に変なことが起こるとももの凄く慌てます。

「できる消防士は決して慌てない」

先輩、僕はまだまだでした。
経験を積み重ね、日々精進して参ります。